付録2 絞り開放で花を撮ってみよう

「最初に覚えておきたいこと」の項で書いたようにレンズの絞りを開放(絞りの数字が一番小さい状態)にすると、極端に被写界深度が浅くなります。

その特性を利用して、見せたいところだけを見せて、それ以外の部分はぼかしてしまう写真の基本的なテクニックです。

絞りを開放にして、ぐっと寄って撮るだけですから簡単です。

 

レンズ焦点距離は標準レンズより長いもの、開放F値はF4より明るいものだとボケをつくりやすくなります。

単焦点レンズでF2より明るいものなら最高です。


カメラのモード設定は、絞り優先オート(A)かマニュアル(M)です。カメラ操作になれている人は測光モードをスポットにすると、より正確に露出が決まります。ISO感度は、出来る限り低め(減感はNG)がおすすめです。

 

カメラの内蔵露出計は、反射光式と言い、光そのものを量るのではなく反射した明るさを量ります。その仕組み上、白いものでも黒いものでも、常にグレーに写る設定になっています。

ですから、黒いものを黒く、白いものを白く写したい場合は、露出補正が必要です。

露出オートの場合、黒っぽいものを撮るときはマイナス補正、白っぽいものを撮るときはプラス補正です。

実際の撮影では、いろんな条件が重なり合いますので、こんな場合は+1などのように言うことは出来ませんが、真っ黒なものを真っ黒に見えるように写すには、 カメラによりますが、およそ-2~-3補正。真っ白なものを真っ白に見える様に写すには、およそ+1~+3補正が必要です。

ただしデジカメは、白側が飛びやすいので注意が必要です。極端に白飛び(諧調のデータを記録できる範囲を超えて情報がない状態)するとRawで撮っていても救えない場合があります。JPEGなら、即アウトです。

覚えることはこれだけです。簡単でしょう!

 

つい、めんどうなことを書いてしまいましたが、初心者の方でも難しく考えることはありません。練習で必ず出来るようになります。シャッター優先オート(A) 絞りは開放(F値一番小さな数字の方)で撮ってみましょう。露出のことは、よくわからなくても大丈夫です。撮ってモニターで確認すればOK。暗かったら+ 補正、明るかったら-補正です。(ただし、モニターの明るさ適正にすることを忘れないでください。)

 

花の写真を撮るとき最も大事なのは、テクニックではありません。

それは、一番美しい花を探しだすこと。そして、どこが美しいのか、特徴を見つけること。いいアングルを探すこと。これだけです。

そして、「いいね!きれいだよ。撮らせてね」とささやきます(心の中で可)。クサイかもしれないけれど、これは大事。

 

下の写真は、すべて絞り開放で撮ったものです。

すべてRawで撮影。Photoshop CC Camera Raw で現像しています。

現像時の設定以外のリタッチはしていません。

スナップ写真は、JPEGで撮影する方が多いと思いますが、撮影の現場で微妙な露出調整や色の管理は難しいものです。Rawで撮って現像で調整する方法をお勧めします。

ジョギング中に見つけた蠟梅をその翌日撮影。撮影日は2月1日、気温+3度くらいの風が冷たい日だったのだけれど、春の柔らかな光を感じる写真にしたいと思った。見た人に「あっ、春だ!」と感じてほしい。直射日光があたって美しい花は、そう無い。右の花のめしべにフォーカスを合わせて撮影。黄色の花は、ハイライト部分が飽和しやすいのでヒストグラムを確認しながら露出を決定。露出補正は-2/3絞り(評価測光)。 そのままだとアンダーに感じる露出で撮影。暖かみを出したいので、Camera Raw で色温度を5650K(ケルビン)に設定。色を飽和させないで鮮やかな感じを出すため、自然な彩度を使用+30。めしべ周辺と右のつぼみが暗いので、部分補正ブラシを使用+0,50補正

最初からこの小さな花を撮るつもりで出かけたので、レンズは、Micro Nikkol 105mm F2.8D一本のみ。


NIKON D810 Micro Nikkor 105mm F2.8D  手持ち撮影   

撮影焦点距離 105mm  IS0100  1/1250sec  F2.8 
Rawで撮影  Photoshop CC Camera Rawで現像

カメラキャリブレーション Adobe Standard 使用  ホワイトバランス 5650K

露光量+0.95  白レベル-30 黒レベル+10 自然な彩度+30

同じ蠟梅。ちなみに蠟梅は、梅ではないそうです。撮影していたら、散歩のおじいさんが教えてくれました。とても良い香りがします。

空の青とのコントラストが美しい。枝が少しうるさかったのでPhotoshopで2本だけ消しました。


NIKON D810 Micro Nikkor 105mm F2.8D  手持ち撮影   

撮影焦点距離 105mm  IS0100  1/2000sec  F3.5
Rawで撮影  Photoshop CC Camera Rawで現像

カメラキャリブレーション Adobe Standard 使用  ホワイトバランス 5650K

露光量+0.95  白レベル-15 シャドウ+30 黒レベル+3 自然な彩度+18

朝の散歩途中に見つけた彼岸花。おしべとめしべにフォーカスを合わせて撮影。花は白いが、背景は暗いので、露出補正は-2/3絞り(評価測光)。朝、まだ太陽が昇る前のひんやりとした空気感を出したかったのでCamera Raw で色温度を3850K(ケルビン)に設定。おしべめしべのシュッと伸びた美しさを強調するためコントラスト+12に設定。黒レベル-5で背景をつぶれる寸前まで落としています

僕の散歩用レンズは、Tamron SP28-75 F2.8 小型軽量でマクロレンズみたいに寄れるのですごく便利。

ボケも美しい。しかも安い。最高のお散歩レンズです。

 

NIKON D7000 Tamron SP28-75mm F2.8  手持ち撮影   

撮影焦点距離 60mm  IS0100  1/200sec  F2.8 
Rawで撮影  Photoshop CC Camera Rawで現像

カメラキャリブレーション Adobe Standard 使用  ホワイトバランス 3850K

コントラスト+12  黒レベル-5

休日の午後、雨が上がったので家の近くの生田バラ苑へ出かけてみる。雨が上がりの薔薇は美しい。花びらの奥に入り込んだ水滴が色っぽいので、そこにフォーカス。カラーバランスを低めの3850Kに設定。雨上がりのしっとり感を出したいので、Camera Rawでコントラスト-22 彩度+24に設定。

今回のレンズは、Tamron SP 70-200 F2.8 F2.8の中では最軽量。寄れるのも特徴。ボケが美しいレンズです。解像度も良い。欠点はフォーカススピードが少し遅いこと。

 

NIKON D7000 Tamron SP70-200 F2.8   三脚使用

撮影焦点距離 200mm  IS0100  1/160sec  F2.8  ホワイトバランス 3850K

Photoshop CC Camera Rawで現像 

カメラキャリブレーション Adobe Standard 使用  コントラスト-22  彩度+24

上の写真と同じ日、生田バラ苑にて。

白い薔薇の凛とした美しさを感じたので、少し下のアングルから撮影。背景を遠い風景とすることで透明感を出しました。フォーカスはつぼみの中。柔らかな空気感にするため、Camera Rawでコントラスト-15

 

NIKON D7100 Tamron 70-200 F2.8  三脚使用

撮影焦点距離140mm  IS0100  1/320sec  F2.8  カラーバランス4250K

Photoshop CC Camera Rawで現像 

カメラキャリブレーション Adobe Standard 使用  コントラスト-15

これも同じ日の生田バラ苑。3つの並び方がかわいい。一番手前のの花にフォーカスを合わせると平面的になってしまうので、奥の2つに合わせました。Camera Rawで、コントラスト−11 くわえて、右の花を見てほしいので Camera Raw 部分補正で+0.8

 

NIKON D7000 Tamron 70-200 F2.8   三脚使用

撮影焦点距離180mm  IS0100  1/320sec  F2.8  ホワイトバランス 3900K

Photoshop CC Camera Rawで現像 

カメラキャリブレーション Adobe Standard 使用  コントラスト-11

近所の紫陽花寺妙楽寺まで散歩。雨が降り出すと読んで出かけたのだが降らず。

お散歩カメラは、D7100からα7に変えてみました。

このレンズ、さすがツァイスの単玉です。すばらしい描写ですね。花びらの質感まで伝わります。ただし、最短撮影距離が長くクローズアップレンズは常に持ち歩かなくてはなりません。

紫陽花をの撮影は、周りの花から独立して、一人ですう〜っと立っている子を探すのがポイントだと思います。ボケを利用して背景から分離してあげると、凛とした雰囲気が出てきます。

Camera Raw カメラキャリブレーション Camera Deep を使って深みを出しています。

彩度を+20に設定、色を鮮やかにしています。

 

SONY α7 Zonnar 55mm F1.8   手持ち撮影  クローズアップレンズ No1使用

撮影焦点距離 55mm  ISO100  1/250sec F1.8  ホワイトバランス 5000K 彩度+20

Photoshop CC Camera Rawで現像  カメラキャリブレーション Camera Deep 使用

紫陽花は雨の花と思いがちですが、こうしてみると太陽の光を求めているみたいです。

フォーカス位置は、右手前の花です。

鮮やかにするためCamera Raw で彩度を+20にしました。

 

SONY α7 Zonnar 55mm F1.8   手持ち撮影  クローズアップレンズ No1使用

撮影焦点距離 55mm  ISO100  1/250sec F1.8  ホワイトバランス 5000k

Photoshop CC Camera Rawで現像  カメラキャリブレーション Camera Deep 使用  彩度+20

紫陽花の下にもぐり込んで見上げてみました。時には常識はずれなアングルから撮ってみると発見があります。

これはフォーカスを合わせるのが難しく、失敗の山が出来ました。でもね、一枚あればいいんです。

Camera Raw で現像時、黒レベルを持ち上げてさわやかな印象になるように調整しました。彩度も+15で鮮やかにしています。

 

NIKON D700 AF-S NIKKOR 24-70 F2.8   手持ち撮影

撮影焦点距離60mm  IS0100  1/200sec  F2.8  ホワイトバランス 4400K

Photoshop CC Camera Rawで現像 

カメラキャリブレーション Adobe Standard 使用  コントラスト+5  黒レベル+17 彩度+15

数年前、スタジオ近くの林試の森公園で撮影。太陽が沈んでほんの少しだけ光が残ってる状態で撮影。

朝太陽がのぼる前、夕方太陽が沈んだ後の時間帯は、フォトグラファーにとって最高の時間です。優しい光が、すべてのものを柔らかく見せてくれます。

レンズは、Canon EF85mm F1.2 さすがに被写界深度浅いですね。

Raw 現像で黒レベルを持ち上げて諧調を出しています。

実際には7000Kくらいの色温度だと思われますが、月夜な感じにしたいのでCamera Raw で色温度4400Kに設定。

 

Canon EOS1Ds Mark3  EF85mm F1.2   手持ち撮影 

撮影焦点距離 85mm  IS0100  1/400sec  F1.2  ホワイトバランス 4400K

Rawで撮影  Photoshop CC Camera Rawで現像 

カメラキャリブレーション Adobe Standard 使用 

ホワイトバランス4400K  コントラスト+7  黒レベル+15  自然な彩度+26 

自宅すぐ近くの宿河原駅付近で撮影。

桜は難しいです。一つ一つをよく見て、かわいく咲いている花を見つけるのが撮影のコツでしょうか。

晴れると、ライティングがちょうど良い花というのは、まず見つかりません。「ここを少し明るくしてあげるときれいになるな」と、想像しながら撮影します。

逆光で花びらが暗く写りますが、Rawで撮影すると現像時Camera Rawの部分補正で簡単に直ります。+0.4のブラシと+0.6のブラシを使っています。枝の部分が真っ黒に見えて目を引いてしまうので、シャドウ+46 黒レベル+36として軽い感じに仕上げました。さらに花びらのピンクを出すため彩度+19です。

このレンズは少し昔のレンズなので、ナノクリスタルコーティングなどのレンズに比べ逆光に弱く、ゴーストが出ちゃいましたが、これも味のうち。

 

NIKON D7000 Tamron SP28-75mm F2.8  手持ち撮影   

撮影焦点距離 75mm  IS0100  1/1250sec  F2.8 
Rawで撮影  Photoshop CC Camera Rawで現像

カメラキャリブレーション Adobe Standard 使用 

ホワイトバランス 5450K  シャドウ+46  黒レベル+36  彩度+19

*中級者以上の方がオートフォーカスで撮る場合には、一つ準備が必要です。

今の一眼レフならほとんどの機種についていると思いますが、AF微調整です。

最新機種であっても、絞り開放でそのままフォーカスがドンピシャなカメラは滅多にありません。(先日、NIKONの修理ミスによるD800のセンサー交換をしたのですが、交換前とフォーカス位置がずれていました。センサー取り付け時のミクロン単位のずれが原因だと思われます。)

けっこう時間がかかりますが、Camera Control Pro 2などのソフトでパソコンとつないで調整してください。

ズームレンズの場合、ワイド側とテレ側でフォーカス位置が違うことが珍しくありません。どこかで妥協点を見つけ出すしかありません。

◀ Spool+S Photographyは、ビジネスポートレイト・ファミリーフォトを得意とする東京都目黒区の写真スタジオです。

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