5 物撮りのライティング 瓶など透明なもの編

透明な瓶などを透明に写す。これはちょっと難しいのですが、参考にしてみて下さい。

今回は日本酒の瓶。

「日本酒が好きで、一升瓶の写真を撮るのが趣味。なんとかして奇麗に撮りたい。」と、リクエストを下さったのは、横浜の環境調査を専門とする会社の社長 TOさん。一眼レフのかなり上級者です。切り抜きや合成など、Photoshopも得意という事でしたので、ちょっとレベルを上げました。

僕は、物撮りのプロではありませんが、この撮影にかかった時間は、セット作成開始から、撮り終えるまで、40分位です。もっと追い込んでやれることもあるのですが、一般の方に、再現不可能なことをやっても意味がないので、ここでOKとしました。

ライティング初心者の場合、数時間かかるかもしれません。

瓶完成品
カメラNIKON D800(APS-Cで使用))レンズ70mm(フルサイズ換算105mm) 1/8sec f11

左の写真が完成品です。

ライティングの効果をわかり易くするため、切り抜き写真としました。

 

ライティングの目標は、

1、ガラスの瓶の滑らかな表面の質感がわかること。

2、ラベルが奇麗に見えること、すべての字が読めること。

3、お酒の透明感を感じること。

4、切り抜きで使った際、背景にとけ込まない様、瓶のエッジがはっきりしていること、違和感が無いこと。

 

このWorkshopでは、基本的にライトはタングステンのアイランプ2灯までと決めていますので、今回もそれを守っています。

ですから、根気よくやれば再現可能だと思います。

 

撮影データは、レンズ70mm(フルサイズ換算105mm)1/8sec f11 

ホワイトバランスは、2950ケルビン

ケーブルレリーズを付けて、ミラーアップモードを選びます。

 

この撮影で必要なものは、90cm幅のトレーシングペーパー、アイランプ500Wと300W、それをら保持するスタンド等、黒ケント紙、ハレパネ、アルミ箔、アルミの針金、瓶を持ち上げるアクリル等、以上です。

 

1,  最初は、瓶のガラス表面の質感を出すライトからです。

撮影データは完成画像と同じ
撮影データは完成画像と同じ

物を撮影台の上にアクリルなどを使っ3~10cmほど浮かせて置きます。これは、テーブル面の映り込みをコントロールできるようにするためです。次に、カメラを水準器などを使って完全に前後左右とも水平にします。形を正確に出すために必要です。


物の左右、高さ2,5m位の所から90cm幅のトレーシングペパー(以下トレペ)を垂らします。距離感と角度は写真参照です。後で、必ず角度調整が必要になりますので、動かし易いスタンドがあると便利です。

 

物の真横から少し前位の位置にライトを置きます。今回のランプは右500Wハニーソフト、左300wのフラッドです。高さは瓶のハイライトの入り方を見ながら調整します。目は必ずレンズの位置から、もしくは、ファインダーを見ながらです。

 

ここでは、ライトを一灯づつ前後左右、上下に動かしながらライトの位置を決めて行きます。

瓶の形によって、ハイライトの入り方が違ってきますから、物を入れ替える都度調整が必要です。

カメラを覗きながらライト位置を動かすのは難しいですから、誰か一人手伝ってくれる人がいると作業が早いです。

 

ハイライトが鋭すぎる場合は、ライトとトレペの距離を離すと柔らかくなります。近づけると鋭くなります。目が訓練されていないと、肉眼ではわかりにくいと思います。カメラのモニターでは、小さ過ぎてわかりにくいですから、カメラとパソコン直結で撮ってみて、確認しながらが良いと思います。

 

瓶の質感だけではなく、ラベルが光りすぎず、字が読める事もポイントです。ライト位置が相反する場合も多いので、合成も考えた方が効率が良い場合があります。

ここで、美しいハイライトの映り込みを作っておかないと、後で、うまくいかないスパイラルにはまります。根気よくライト位置を探しましょう。

 

良い位置関係を探すのは1時間くらいはかかるかもしれません。僕がスタジオマンとして修業時代、最良のライト位置を見つけられず、徹夜するフォトグラファーが良くいました。

これは感性ではなく、完全に理科の時間です。理科の頭を使いましょう。感性のフォトグラファーが思いつきでやっても、たぶんたどり着きません。

 

ずれました、戻ります。

背景に漏れる光を黒ボードでカットする事も必要です。丸い瓶には、背景も映り込みます。

本当は、ライトスタンドなども写り込むので、空中に浮かせた境目の無いトレペのつなぎ方が出来れば良いのですが、そこまでやると、この瓶撮影のために10時間コース(プロがやっても)になってしまいますのでやめます。(またまた、修業時代ですがある管楽器メーカーの撮影していたフォトグラファーが、セロファンテープ一本で、見える所につなぎ目が出ない方法を見せてくれました。すごい人だなあと本気で思いました。)

そんな、トレペの張り方が出来たとしてもレンズの穴は開けなければはいけません。その穴も映り込みます。

 カメラが映り込んでいて目立つときは、カメラに光が当たらない状態を作る必要があります。

難しいと思います。

 

この写真にもよく見ると映っていますが、目立たなければ良しとしましょう。

ある経営コンサルの言葉、「最後10%のツメ」は必要ですが、1%の妥協は許してもらいましょう。Photoshopの方が早いです。

 

 

2, 次に透明感を出して行きます。

撮影データは完成画像と同じ
撮影データは完成画像と同じ

「透明感って、どうやればいいの?」ですよね。

後ろから光が当たって、光のグラデーションで透明に見える状態を作って行きます。

点光源の光では、瓶のあちこちに、点状の映り込みが出てしまいます。後に面光源を作ると言う手もありますが、セットが複雑になってしまいます。

 

右上写真の方法なら簡単です。ハレパネを瓶より少し小さめくらいに作り、アルミ箔(ツヤが少ない方を表に)を出来るだけ奇麗に貼ったものを用意します。

百均などで売っている、アルミの針金にテープで貼ります。瓶の後ろ側に置いて、メインのライトを受けて光る角度を探します。その後、ファインダーを見て、はみ出している所をカットして行きます。一枚撮影してみて、ハイライトが強過ぎたら、少し角度を変えてハイライトの強弱を調整して行きます。

合わせなければいけないのは、レフ版の大きさと形(瓶からはみ出さず、小さ過ぎてハイライトが途切れない大きさ)、光を受ける角度、なれないと難しいです。この作業だけで、1時間くらいは覚悟しましょう。

 

 

 


3, そして、瓶のエッジを出して行きます。

撮影データは完成画像と同じ
撮影データは完成画像と同じ

2, の状態まででも奇麗に見えますが、切り抜きですから、瓶のエッジをもう少しはっきり出していきたいと思います。

 

これは簡単です。黒ケント紙などで、直径5cm位の筒を2本作ります。瓶の肩の斜めの部分の映り込みもカバーしなければいけませんので、瓶より高くなるように作ります。この時、くれぐれも1,で作った瓶のライティングの邪魔をしてはいけません。影を作らない様、瓶の両脇少し後ろの位置に立て、ファインダーを見ながら距離をつめて行きます。

左の写真の様に、奇麗につながったラインが出れば成功です。

ちょっと位置がずれただけでも、ラインの出方が変わってきます。

パソコンの画面で確認しながら調整して行きます。

 

最後に、右の写真のようなカラーチェッカーまたはグレーカードを一緒に撮影しておくと、物の色を正確に出したいときに便利です。

 

撮影はこれで終了です。

 

 

 

 


4, もう一度、完成画像

 

 

最後にもう一度完成画像を載せておきます。

切り抜いてみると、最後の行程でエッジを出した意味が分かって頂けると思います。

 

撮影の後、Photoshopなどの画像調整ソフトをつかって細部調整と切り抜き画像作成に入りますが、画像調整についてはまたの機会に。と、させて下さい。


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